携帯電話は壊れてない?!~滞在許可証無事取得~
僕らはラ・デファンスにあるSFRショップにいた。僕らの対応をしていた黒人の女性店員は両手を広げて、
「これじゃぁまだ契約はできないわね・・・」
とつぶやいた。頭を抱える僕ら。せっかくこのために滞在許可証の取得を早めてもらった のに・・・。
滞在許可証は無事取得できた。今回もナンテールの県庁で前回の申請時と同じ、僕らにやさしい担当者に対応してもらった。
僕らはその後、デファンスにあるSFR(携帯電話の通信事業者の1つ)のショップに向かい、兼ねてから壊れていた携帯電話を買い替えに行った。そもそも僕の携帯電話はフランスの携帯の宿命か、ダイニングテーブルに置いておいたとき、ワインがこぼれて、ご臨終。その後、ドライヤーで乾かしても、いくら時間が経っても、再起不能だった。そこで買い換えようということになっていたのだが・・・、
他国のことは不明だが、フランスでは携帯電話を通信の契約とともに買おうとした場合、最低でも銀行口座とともに滞在許可証が必要になる。これまでもっていた故障した携帯電話はプリペイド式で、プリペイド式を買う際にはもちろん銀行口座も滞在許可証もいらなかった。
ただし、プリペイド式の携帯電話は機器が高く、通信契約付きの携帯電話は圧倒的に安く手に入る(最も安いのでは1ユーロの機器がある)。プリペイド式の機器を買ったときは、50-60ユーロくらいのものを買ったのだが、壊れたからと言って同程度の価格のプリペイド式携帯電話をまた買うのは辛かったので、滞在許可証の取得を待って通信契約付きの携帯電話を購入しようと考えていたのだ。
ところが、せっかく滞在許可証が早く取得できたというのに、今度は銀行口座の手続きに不備があると店員が言うのだ。店頭から銀行に問い合わせたところ、そのように言われたという。
落胆して、また出直して来ようかと呆然としていると、それを見かねた女性店員が、
「その古い携帯電話、一応、充電してみる?」
と言ってくれて、僕の壊れた携帯電話を充電システムのある奥のカウンターまで持って行ってしまった。その間、僕らは途方に暮れていると、すぐにその女性店員が呼ぶ声がする。まさかと思い、そのカウンターに行ってみると、
「充電したら、電源が入ったわよ。メモリーも大丈夫みたいね。」
は???壊れていたと思っていた携帯電話が壊れていなかった?ま、少なくともそのときになって僕の携帯電話は確かに復活していたのだ。何度もこの件で僕らが店頭を訪れていることを知る女性店員も苦笑い。最後は何だか優しい表情で別れの挨拶をしてきた。
僕らは狐につままれたような思いで、帰途に着いた。結局僕らは得をしたのか?損をしたのか?そのプラスマイナスをいつまで計算しても全く答えが見つからないまま、その日の夕食では、滞在許可証取得を祝ってシャンペンで乾杯した。もちろん、そのとき、僕の携帯電話はシャンペンがこぼれないようなとーーおくの方にちゃんと隠しておいたのだった。