カミカゼ=自爆テロ!? | パリの専業主夫

カミカゼ=自爆テロ!?

パリにいると、テロは他人事ではない。


奥さんは十年ほど前の留学時代、リヨンの駅構内での爆破事件に遭遇したことがある。つい最近ロンドンで起こった地下鉄同時爆破テロではパリに遊びに来ていたロンドン在住の友人がテロ発生直後にパリからロンドンへ到着し、停止する直前の地下鉄に乗っている。


そのロンドンの地下鉄同時爆破テロがフランスでももちろんテレビで報道されているわけだが、仏語鋭意学習中の僕でさえもある単語が引っかかった。それは


「Kamikaze」(カミカゼ)


という日本語だった。奥さんにテレビを聞いてもらったところ、どうもそれはテロ実行犯が自らの命を犠牲にして目標を爆破すること、つまり「自爆テロ」を指しているようなのだ。


「Kamikaze」とは太平洋戦争末期に日本軍が編成した「神風特攻隊」の「神風」から借用していると思われる。実際に「神風特攻隊」に代表される「特攻隊」がどのようなものであったかはここでは触れないが、僕はこれが西洋人から見た「東洋の蒙昧な狂信性」という一点だけでこのように借用されてしまっているという気がしてならない。


イスラム教原理主義の過激分子が引き起こす無差別自爆テロと、太平洋戦争末期に日本軍が採用した体当たり攻撃。僕はもちろんどちらが良いとか悪いとかを言おうとしているのではない。しかし、あまりに時代や背景、そこに関わっている人々の立場が異なっていることは明らかだ。正直、日本人として何となく嫌な感じがするのだ。


なぜなら、一つに、そのような違いがあるにもかかわらずそれを「東洋の蒙昧な狂信性」として一緒くたにしている雑な感覚があると感じるからだ。さらに、両方とも本当に洗脳されたロボットのような妄信的な行為だったのかということに疑問があるからだ。僕は九州の特攻記念館に行って特攻として死んでいった青年たちの真摯な気持ちをつづった短歌などを見たことがある。


みなさん、いかがでしょうかねぇ。僕は全くファナティックなナショナリストではない。むしろ、最近の日本の冷静でないナショナリスティックな風潮に嫌悪さえ感じている。でも、一般の西洋人から、アラブも日本も同じ後進的で蒙昧な気質があるので何をしでかすか分からないと思われているとすれば、少し嫌な気も起こる(もちろん普通のアラブ人の方が今もっと複雑な心境でいることはよく分かる)。


どうしてこのような借用が起こったか経緯をご存知の方がいたら、お知らせ下さいね。



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